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南鳥島沖の重希土類レアアース、深海揚泥の成果と事業化への課題

南鳥島沖の深海から船上へ揚げた泥に、イットリウムなどのレアアースが含まれていることが確認されました。国産資源への期待が高まる一方、今後は採鉱の規模を広げ、分離・精製や事業採算まで検証する必要があります。

この記事の結論

南鳥島沖では、地球深部探査船「ちきゅう」による深海からの連続揚泥と、回収泥に含まれる重希土類レアアースの成分確認が進みました。国産供給網の実現には、今後の採鉱試験に加え、処理技術、コスト、環境影響の検証が必要です。

  • 南鳥島沖の深海泥から重希土類レアアースを確認
  • 地球深部探査船「ちきゅう」が連続揚泥に成功
  • 商業生産には採鉱と処理の規模・採算の検証が必要

南鳥島沖のレアアース泥では何が確認された?

南鳥島沖では、深海底から船上へ揚げた泥を分析し、イットリウムなどのレアアース成分が確認されました。存在が示唆されていた資源を実際に回収し、成分を調べられたことが前進です。

レアアース泥
レアアース泥とは、レアアース元素を含む海底下の泥のことです。

南鳥島周辺は日本の排他的経済水域内にあります。JAMSTECの2025年12月の発表によると、周辺の海底下にはレアアース元素を高濃度に含む「レアアース泥」が確認されています。日本国内で利用できる資源を探るうえで、南鳥島沖は調査と実証の対象となっています。

地球深部探査船「ちきゅう」による2026年の試験では、深海の泥を船上まで連続して揚げました。内閣府とJAMSTECは2026年7月24日、回収泥の成分分析結果を発表しています。地質調査で存在を示唆する段階から、揚げた泥の成分を確かめる段階へ進みました。

南鳥島沖の成果を評価する際には、泥の回収、成分の確認、資源量の評価、分離・精製、商業生産を分けて考える必要があります。JAMSTECの2026年7月の発表で示された中心的な成果は、深海からの連続揚泥と回収泥の分析です。安定した供給網をつくるには、後続の工程も検証しなければなりません。

段階 確かめる内容
泥の回収 深海から船上へ泥を揚げられるか
成分の確認 回収泥にどのレアアースが含まれるか
資源量の評価 海底下の資源の広がりをどう把握するか
分離・精製 回収した泥から利用する成分を取り出せるか
商業生産 継続的な生産を採算に合う形で行えるか
南鳥島沖の資源開発で区別したい段階

南鳥島沖の泥にはどのレアアースが含まれる?

内閣府とJAMSTECの2026年7月24日の発表によると、回収泥に含まれるレアアース成分の約54%は中・重レアアースでした。イットリウムやガドリニウム、ジスプロシウムなどが確認されています。

nippon.comの2026年7月24日の報道によると、回収泥に含まれるレアアース成分の内訳は、イットリウムが29.9%、ネオジムが18.4%、ガドリニウムが4.9%、ジスプロシウムが4.6%でした。割合は泥全体に占める比率ではなく、泥に含まれるレアアース成分の内訳です。

イットリウムはLEDや半導体、ガドリニウムは原子炉制御、ジスプロシウムはEV用モーターに関係する用途があります。nippon.comの2026年7月24日の報道で挙げられた用途からも、回収泥の分析が先端産業向け資源の検討に結びつくことが分かります。

重希土類は磁石材料や電子部品、製造装置などに関わり、代替が難しい資源です。一方、成分ごとの割合だけでは、実際に取り出せる量や分離・精製の効率、供給価格は決まりません。産業で使える資源にするには、泥を揚げた後の処理まで含めた検討が必要です。

地球深部探査船「ちきゅう」は深海で何を実証した?

地球深部探査船「ちきゅう」は2026年、南鳥島沖の水深約6000メートル級で採鉱システムの接続試験を行い、海底下の泥を船上へ連続して揚げました。試験の主目的は採鉱・揚泥システムの作動確認です。

JAMSTECの2025年12月の発表によると、接続試験は2026年1月11日から2月14日までの予定で計画されました。JAMSTECは、水深約6000メートル級で採鉱システムを試す世界初の試みと位置づけています。深海で機器を接続し、泥を船上まで運べるかが焦点でした。

JAMSTECの2026年7月の発表によると、1月30日にパイプ長5569メートルの海底へ解泥機が着底し、2月1日午前0時30分過ぎに海底下の泥を船上へ連続して揚げたことを確認しました。JAMSTECは、水深5569メートルの海底下からの連続揚泥に世界で初めて成功したと発表しています。

2026年7月24日の日本経済新聞系報道とnippon.comによると、接続試験で回収された泥は約50トンです。約50トンは試験で揚げた量であり、日々の商業生産量ではありません。深海から連続して泥を運べた成果と、産業規模で継続して生産できるかという課題は別に捉える必要があります。

南鳥島沖の資源開発はなぜ日本の供給網に関わる?

南鳥島沖のレアアース泥は、日本の排他的経済水域内にあるため、供給元を多角化する候補です。重希土類を必要とする産業にとって、海外への調達依存を減らせるかが開発の意義となります。

戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)とは、内閣府が進める研究開発のプログラムです。

レアアースの供給は中国に大きく偏り、中国による輸出規制も日本の調達リスクに関わっています。JAMSTECは2025年12月、国際情勢の変化や一部の国への供給集中を課題として挙げました。日本政府が供給元の多角化を進めるなか、南鳥島沖の資源には国産供給の可能性が期待されています。

南鳥島沖の研究は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムで進められています。JAMSTECの2025年12月と2026年7月の発表によると、課題名は「海洋安全保障プラットフォームの構築」で、探査や採鉱だけでなく、分離・精製・製錬まで対象に含みます。JAMSTECは研究推進法人として計画の中核を担っています。

Ocean Newsletterの2026年の説明によると、レアアース泥研究は、SIPの第1期に当たる2014~2018年度、第2期の2018~2022年度を経て、2023年度からの第3期へ続いています。JAMSTECの2026年7月の発表によると、2018年以降は掘削技術を応用した「閉鎖型循環方式」の採鉱システムを開発してきました。

南鳥島沖のレアアースはいつ事業化できる?

南鳥島沖では、今後の採鉱試験と産業化に向けた評価が計画されています。事業化には採鉱量を増やすだけでなく、資源量の把握、分離・精製、輸送、コスト、安全性、環境への配慮を合わせて検討する必要があります。

Science Portalの2026年2月の報道とnippon.comの2026年7月の報道によると、2027年2月以降に南鳥島沖で約1カ月間の本格的な採鉱試験が計画されています。実証の目標は1日当たり350トンです。2026年の接続試験で回収された約50トンとは規模も目的も異なり、次の試験では生産量を増やす工程が焦点になります。

日本海事新聞系の2026年8月の報道によると、2028年3月までに国産レアアースの産業化に向けた評価を行う予定です。JAMSTECの2026年7月の発表などでも、資源量を三次元で把握することや、産業規模の生産工程を検証することが課題に挙がっています。評価の予定と商業生産の開始は同じ意味ではありません。

nippon.comの2026年7月24日の報道によると、2026年に回収した泥の分析では、有害物質や放射性物質について有意な数値は検出されませんでした。環境への配慮は泥の分析に限らず、採掘、輸送、分離・精製を含む工程で考える必要があります。深海での作業に伴う安全性や設備整備も、事業化に向けた検討項目です。

  1. 採鉱試験で、泥を継続して揚げられる量と作業の効率を確かめます。
  2. 海底下の資源量と広がりを、三次元の情報として把握します。
  3. 回収泥の輸送から分離・精製・製錬までの工程を検証します。
  4. 深海での作業の安全性、設備、コスト、事業採算を評価します。
  5. 採掘から処理までの工程で環境への影響を考慮します。

よくある質問

南鳥島沖で採れた泥の約54%がレアアースですか?

内閣府とJAMSTECの2026年7月24日の発表によると、約54%は回収泥に含まれるレアアース成分のうち、中・重レアアースが占める割合です。泥全体に対する割合ではありません。

南鳥島沖のレアアースはすでに商業生産されていますか?

JAMSTECの2026年7月の発表で示された成果は、深海からの連続揚泥と回収泥の分析です。商業生産に向けては、採鉱の規模や処理工程、事業採算をさらに検証します。

南鳥島沖で2027年に予定される採鉱試験の目標は?

Science Portalの2026年2月の報道とnippon.comの2026年7月の報道によると、2027年2月以降に約1カ月間の試験が計画され、1日当たり350トンを目標としています。

地球深部探査船「ちきゅう」は南鳥島沖で何に成功しましたか?

JAMSTECの2026年7月の発表によると、「ちきゅう」は水深5569メートルの海底下から船上への連続揚泥に、世界で初めて成功しました。

まとめ

  • 南鳥島沖では深海から回収した泥の成分を分析し、イットリウムなどの重希土類レアアースが確認されました。
  • 地球深部探査船「ちきゅう」による2026年の試験は、採鉱・揚泥システムの作動確認を主な目的としていました。
  • 南鳥島沖の国産供給網づくりには、採鉱の規模拡大に加え、資源量の把握と分離・精製工程の検証が必要です。
  • 2027年2月以降に計画される採鉱試験の目標は1日当たり350トンで、2026年の回収量約50トンとは異なります。
  • 商業生産へ進むには、深海での作業の安全性、事業採算、設備整備、環境への配慮を合わせて評価します。

出典:がくラボリング

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